外傷におけるドクヘリの有効性は?

有効。費用対効果は?

 

日本のドクヘリの有効性を初めてそれなりの国際誌へ報告した研究だと思う。

多分。調べたことないけど。

最もtime dependentな疾患である外傷では早く搬送出来る手段に大きなアドバンテージがあるのは想像に違わないところ。

この報告をお上に持って行って、ドクヘリの縮小が防がれたことがあるとか、ないとか。

 

 

 

ドクターヘリと言うのは華々しい飛び道具ですが、治療ではありません。

そのため、ドクターヘリを使ったからと言って患者の予後が改善すると言うことはありません。

ドクターヘリと言うサービスに伴うが多く事柄がヘリと言う代理指標に表されて有効だと表現できます。

パッケージみたいなもんかね。

典型的なヘルスサービスリサーチの一つ。

ヘリそのものはストラクチャーで、有効なのはおそらくそのプロセス。

 

 

まあ、解釈はそれでいいんだけど、プロとしてはそのプロセスの中身を知って、それをヘリなしでも行うことによって患者さんの予後を改善させることが出来ることを知る必要があります。

 

当院にもヘリが良く降りてくれるようになりましたが、ヘリって言うだけでどんどん人が集まってくるもんね。

良くも悪くもヘリはリソースを多く投入できると言うことです。

 

 

 

あとの課題は費用対効果の問題。

ドクヘリを運営するためにかかる費用は莫大です。

その予後改善のOdds ratioが1.3〜1.4とするとドクヘリ組はもう少し頑張ろうとも言いたい。

逆に陸搬送もまだOdds ratio1.3〜1.4くらいは外傷患者の予後改善は望めますよ。

 

 

 

 

 

この報告の最も重要な点はヘリに乗っていない私が書いたところ。

ヘリに乗っている人が書くと、かなりの訓練をしていないとどうしてもフラットな視点が取れません。

後ろ向き研究では特にどちら側にも加担しないフラットな視点が必要です。

 

ここだけの話、PS matchを使ってみたかったという理由だけでチャレンジした論文です(笑)。

 

 

 

Covidで夜の街とか飲食っていうのは典型的なconfounderで本当の感染リスクは三密なんだろうけど、それを理解させるのが難しいから、confounderを用いて表現してしまう。なんとも悩ましいところ。

風俗なんかはドクヘリと同じようにパッケージなので、感染のリスクとしても良いとは思うのだが。

 

 

 

 

この研究は日本外傷学会の招待講演、米国集中治療学会(SCCM)で発表しました。

 

原著論文:Abe T, Takahashi O, Saitoh D, Tokuda Y. Association between helicopter with physician versus ground emergency medical services and survival of adults with major trauma in Japan. Crit Care. 2014;18(4):R146. Published 2014 Jul 9. doi:10.1186/cc13981

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