小児外傷患者の輸血の必要性を予測するためには?

バイタルサインとFASTを用いたスコアリングシステムで予測可能である。

 

外傷は小児の主な死亡原因であり、輸血は救命に必要不可欠な治療の1つです。しかし成人とは異なり、小児への輸血は合併症への懸念からしばしば躊躇され、開始が遅れることがあります。

今回、小児外傷患者の輸血必要性を予測するスコアリングシステム (ped-ABC score) を開発しました。

 

 

血圧低下、頻脈、意識障害、FASTの4項目で、輸血の必要性を評価します。

小児では年齢毎にVital signsのcutoffが異なる点も検討し、予測能が変わらないことを確認しました。

 

 

3点以上なら輸血はreasonableと思われます。2点の場合に輸血を行うのかは議論が分かれるかもしれません。特に小児においてオーバートリアージが許容されると思われますが、closed monitoringを継続するという選択肢もあるかもしれません。

スコアだけで完全にrule-in, rule outはできないものの、忙しい救急外来で全年齢に迅速簡便に使える点が強みと考えます。

 

輸血量や輸血の妥当性について本研究では評価できていない点も踏まえ、外的妥当性については今後検討していきたいと思います。

 

文責 小森大輝

 

 

 

 

メンターコメント

スコアリングシステムは値や変数を変え、いくらでも作れます。

複雑なものはより正確になる傾向にありますが、使いにくいものになりがちです。

大切なのは簡便さと正確さのバランス。

 

 

論文ではその必要性をIntroで十分に伝えることが重要です。

・子供には出来るだけ輸血をしたくない。

・子供の命は失うわけにはいかない。

その医師の葛藤や決断に少しでも足しになれば幸いです。

スコアリングシステムやClinical Prediction Ruleはいつも先人と同じく我々の診療のサポーターです。

 

阿部

 

 

 

 

Komori A, Iriyama H, Aoki M, Deshpande GA, Saitoh D, Naito T, Abe T. Assessment of blood consumption score for pediatrics predicts transfusion requirements for children with trauma. Medicine (Baltimore). 2021 Mar 5;100(9):e25014. doi: 10.1097/MD.0000000000025014. PMID: 33655972; PMCID: PMC7939166.