小児腹部臓器損傷に対しての血管塞栓術の有効性は?

小児の腹部臓器損傷は基本的にNon-operative managementで管理できる、というのは知っている方も多いかもしれません。腹部臓器損傷について小児と成人で異なるのは血管塞栓術(Angioembolization)のNon-operative managementについての位置づけです。成人ではAngioembolizationはNon operative management successに貢献する有用性が報告され、一定のEvidenceが得られておりますが、小児については、現状Angioembolizationは腎損傷を除いて肝損傷と脾損傷についてはほぼ不要と言われております。

今回、日本外傷データバンクデータを用いて小児脾損傷、肝損傷について血管塞栓術がどの程度使用されているか記述研究を実施してみました。結果既報と比べて日本では血管塞栓術がover-indicationかもしれませんが、頻用されていることを報告しました(重症脾損傷の26%、重症肝損傷の23%)。今後はどんな症例に血管塞栓術を行う事で手術を回避できるか更にエビデンスを集約できればと思います。

 

文責:青木

 

 

 

 

原著論文:Severe liver trauma among pediatric patients in the Japan Trauma Registry.
Aoki M, Abe T, Hagiwara S, et al.
World Jnl Ped Surgery 2021;4:e000270. doi:10.1136/ wjps-2021-000270

https://wjps.bmj.com/content/4/2/e000270