心肺蘇生時に高度な気道確保は必要か?

おそらく、原因と蘇生時間による

 

 

SOS-KANTOからhands only CPRの研究 (Lancet. 2007;369(9565):920-926) が発表されて以来、CPR時の気道確保はそれ以前ほど重要視されず、CABの順が推奨されています。

最近、それに対して、興味深い論文が発表されました。

 

Izawa J, Komukai S, Gibo K, et al. Pre-hospital advanced airway management for adults with out-of-hospital cardiac arrest: nationwide cohort study. BMJ. 2019;364:l430. doi:10.1136/bmj.l430

 

 

我々も蘇生時の気道確保の重症性について、2011年にLancetへ我々の考えと2008年にResuscitationへ研究を発表したことがあります。ずいぶん昔の話です。

 

心肺停止時に必要なのは脳への酸素供給です。

心肺停止の原因の主なものは心原性ですので、短時間であれば心臓マッサージで凌ぎ、出来るだけ早く除細動を行えば良いのでしょう。しかし、蘇生に時間がかかる症例では徐々に血液内の酸素も失っていきますので、もしくは原因がショックで戻る不整脈でないのであれば、どこかでしっかりとした酸素供給が必要でしょう。

 

 

必要な症例には必要です(笑)

うまく説明になっていませんが、様々な原因であるOHCAを一つのものとして捉え、最初の状態や対応する人、搬送時間などの違いを一緒くたにしてOHCAに高度な気道確保は有効ですか?とするClinical Questionに限界があるのだと思います。

そう言う意味においては原因によって必要性が変わること、時間ごとに必要性が変わることをきれいに表した今回の研究は実臨床に近づいてきた気がしました。みな、エビデンスと実臨床の違いは分かって臨床をやっているのでしょうが。

 

 

 

OHCAデータベースのMajorityを占めるのは東京や大阪のデータです。特に予後が良い症例。東京で診療している時は論文発表されるデータと似たような感覚で診療していました。しかし、田舎に来て思うのは搬送時間が都会とは全く違います。OHCAの場合、All Japanで研究行なっていますが、大味で細やかさが見えにくいデータです。また、Majorityの原因や特徴に引っ張られます。東京都や大阪府はすでに北欧のNationwide study級のサイズがありますし、米国も州ごとで行なっていることが多い研究です。サイズダウンして、細かい研究をしないと次のパラダイムシフトは起こりそうもない領域な気がしますね。

田舎のCPRは別で研究してみても面白いかもしれません。そう言えば、かつて、Harvardの優秀な二人の同級生がやっていました。日本の蘇生の地域差 (Tsugawa Y, Hasegawa K, et al. Regional health expenditure and health outcomes after out-of-hospital cardiac arrest in Japan: an observational study. BMJ Open. 2015;5(8):e008374)

 

 

 

原著論文: Abe T, Tokuda Y, Ishimatsu S; SOS-KANTO study group. Predictors for good cerebral performance among adult survivors of out-of-hospital cardiac arrest. Resuscitation. 2009;80(4):431-436. doi:10.1016/j.resuscitation.2008.12.010

https://resuscitationjournal.com/retrieve/pii/S0300957208008721?showall%3Dtrue

 

原著論文: Abe T, Tokuda Y. Chest-compression-only versus standard CPR. Lancet. 2011;377(9767):718-719. doi:10.1016/S0140-6736(11)60268-7

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673611602687?via%3Dihub