救急患者とポリファーマシーの関係は?

入院率が上がる

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薬、もらいすぎ注意 あちこち受診、計36種処方の例も:朝日新聞デジタル

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薬漬け、処方されるまま 13種飲み副作用…86歳救急搬送 医師同士、情報共有せず:朝日新聞デジタル

 

 

2015年朝日新聞の全国版3面にも大きく取り上げてもらった本研究。

処方数が多いと入院率が上がるものの、予後に影響はなかった。

もちろん、1施設の後ろ向き研究でLimitationは多い。

ただ、レジデントと一緒に一人ずつカルテをめくり診療内容を確認していくわらじ疫学は研究者としても臨床家としても非常に貴重な作業であった。

わらじ疫学とは?

 

 

ポリファーマシーとは?

 

多剤服用

 

潜在的に不適切

 

本来必要な薬剤が使われていない

 

重複

 

であり、広義には過少処方も含む

 

 

 

 

ポリファーマシーそのものが悪い影響なのか?薬剤を多く投与しなければならないmultimorbidityが問題なのかは、もちろん、統計学的には多変量解析とかで調整している研究が多いわけですが、切っても切れない関係で、処方薬が多い事そのものが悪いとは実は言いにくい。適切に処方し、医師が薬剤の相互作用をチェックし、モニターし、アドヒアランスが保たれていれば処方薬が多いのは問題ではないかもしれない。

 

 

厚生労働省は残薬の問題、ポリファーマシーの問題解決のために薬剤整理に保険点数をつけた。外来が出来高払いの日本の体制で一つ減らす側に進める政策をとったのは良いことだと思う。療養病床、老健だと薬剤が少なく、グループホームやサービス付き高齢者住宅などで処方が多いのはその辺が問題だからである。

 

しかし、この点数を取りに行くのが本質ではない。決まりとは本質の大半をカバー出来るように作るものであって、全てをカバーできるものではない。数を減らすために合剤を処方して誤魔化して、満足するようになってはならない。

 

 

 

コロナで問題となった医療と経済。もちろん、医療と言えど需要と供給のバランスがあり、そこで人が働き、そこにお金を使う人がいる以上、利益、利潤は切っても切り離せないものである。医療はこの先の大きな産業の一つだ。

 

ただ、決まりが大半をカバーするように作っているように普通にやれば利益は上がるようになっている。そのため、決まりで正しい方向性をカバーしきれない部分は少し不利益になっても、患者さんに利益があるような選択をとっても良いと思う。

 

 

問題はこれまではクリニックのようなサイズの利益率が高く、病院のサイズだとわずかな利益しか上がらなくなってたところである。日本の医療を維持するためには患者受診行動が変わるか、病院の利益率(保険点数)が変わるか、その辺の変化が求められている。

 

 

そう言う私も経済学は全くの素人。少し勉強しようと思う。

 

 

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私も救急のポリファーマシーの項目を執筆しましたが、2012年に非常に先進的な書籍だったと思う。

 

 

 

 

 

原著論文:Abe T, Tamiya N, Kitahara T, Tokuda Y. Polypharmacy as a risk factor for hospital admission among ambulance-transported old-old patients. Acute Med Surg. 2015;3(2):107-113. Published 2015 Aug 27. doi:10.1002/ams2.153

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29123761/