院外心停止において早期の除細動が神経学的予後を改善することは既知の事実ですが、その根拠は心源性心停止を対象にした研究で示されたものです。今回の研究では、心停止の原因が非心源性の場合に、救急隊到着前のAEDを使った除細動と救急隊到着後の除細動を比較して、前者が神経学的予後の改善に寄与するかを調べました。
結果、救急隊到着前にバイスタンダーがAEDを使って除細動を行っても神経学的予後を改善するとはいえない、というものでした。
非心原性心停止にバイスタンダーがAEDで除細動をしても効果がないという結論ではありません。当初は、除細動までの時間と神経学的予後の関連を調べたかったという背景がありましたが、心停止からAEDによる除細動までの時間が分からないため、結果的にLimitationの多い研究となりました。実臨床を変える研究ではないですが、普段あまり注目されない非心原性心停止において、神経学的予後が良好なのは約10人に1人、AEDが使われているのは約20人に1人、といった現況を示すことができました。御笑覧頂ければ幸いです。
文責 小森大輝
原著論文:
A.Komori, H. Iriyama and T. Abe. Impact of defibrillation with automated external defibrillator by bystander before defibrillation by emergency medical system personnel on neurological outcome of out-of-hospital cardiac arrest with non-cardiac etiology. Resuscitation Plus. 2023; Vol. 13.