外傷だけでなく、医療全般において夜、休日の医療の質についての研究がなされています。
一般的に夜、休日は主として人的資源が不足し医療の質が低下する可能性があり、これはoff-hour effectと呼ばれております。
本研究では重症外傷患者においてoff-hour effectが存在するかを検証しました。
結果、夜や休日で予後が悪化している結果は認めませんでした。
驚かれるかもしれませんが、寧ろ夜に限って言えば日中と比較して予後は改善している可能性がありました。
え?本当にそうなの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、事実そうなのかもしれません。
日中は所謂救命センターは重症外傷患者だけでなく多数の患者を診療しております。また病院自体のシステムも日中は定時の検査、治療でフル稼働しており、どちらかというと夜の方が病院のシステム自体はflexibleなのかもしれません。
前回研究では外傷患者の集約化について検証しましたが、集約化とも関連する概念であります。単に患者の集約化を図るだけでなく、集約化した患者の診療の質低下を招かないためのHospital systemについても考えていかなくてはならないのは間違いありません。
文責:青木
原著論文:Aoki, M., Abe, T., Matsumura, Y. et al. The off-hour effect among severe trauma patients: a nationwide cohort study in Japan. Surg Today (2020). https://doi.org/10.1007/s00595-020-02027-1