ワクチンを打とう

ワクチンは人類、公衆衛生学の叡智だ。

 

公衆衛生や疫学は多くの疾患、患者さんの情報を集め、特徴を見極めて対策を講じる。コレラがそうであったように、相手が何か分かっていなくても、特徴を抑えることで対策できることもある。時間と共に情報が増え、言っていることや対策が変わることを恐れてはならない。大切なのは常に正確な情報を増やし、正確に解析したその時の科学に従うことだ。

 

 

今回のコロナの問題は飛沫であり、飲食店は何も悪くないにも関わらず会食に飛沫の機会が多いことから飲食店に協力してもらっている。本来は交通事故死が多いから車を作るなと言わないように飛沫を抑えることのみに対策したいところであるが、それが出来ないために飲食店に協力を仰いでいる。

 

 

疫学的特徴から問題点を洗い出し、対策し、患者数を減らし、なんとか耐えていると必ず科学がパラダイムシフトを起こしてくれる。それが抗ウイルス薬であり、ワクチンだ。今回、抗ウイルス薬は劇的変化を起こすほどのものではなかったが、待望のワクチンが開発された。治すよりかからない方がずっといい。

ワクチンは世界規模でかなりのスピードで開発、承認された。副反応等心配されているが、薬品開発に置いて、正しいステップを踏んでいる。世界中の研究者がアプローチしたので、早かっただけだ。何かを省略したわけではない。普段飲んでいる高血圧の薬や風邪薬程度には信頼しても良いと思う。少なくとも何かを食べて痩せるみたいなダイエット話よりはずっと信頼できる。

 

 

公衆衛生学はこれまでも感染症との戦いで多くの勝利を収めてきた。天然痘やポリオがそう。麻疹や水痘もずいぶん減った。パンデミックになる条件は疾患が軽症であることだ。ウイルスの視点に立ってみれば、我々を殺そうとしているわけではなく、増えていくために我々の中に住もうとしているだけ。エボラのような重篤な疾患だと患者が死にウイルスはなかなか広がれない。

コロナのようなウイルスの場合、自粛をして感染の山を押さえても感染がゼロになるわけではないことは皆、薄々は気が付いているのではないか?おそらく若者も自分たちはかかっても軽症になるであろうことに気がついているのではないか?

 

 

ワクチンが唯一の出口戦略である。ワクチンは自分がかからないことも重要であるが、他の人にもうつらないようして、我々のコミュニティからウイルスを締め出す集団免疫も目的としている。子宮頸がんワクチンは子宮のない男性にも打つのだ。自分の大切な未来のパートナーのために。100%死ぬ狂犬病のために犬には全犬(?)ワクチンを打ってもらっている。まだ、人にうつったことのない鳥インフルエンザのためにニワトリには毎年何万羽も死んでもらっている。

 

 

若者にはワクチンを打とうか迷ったら、自分の両親や祖父母、お世話になった人の顔を思い浮かべて、自分より弱いものを守るために打って欲しい。医療者がワクチンを打つのは自分のためより、院内の患者さんのための方が理由としては大きいのです。

 

 

ワクチンには何万分の1の確率で重篤な副反応が起こるかもしれない。でも、コロナに罹患し、重篤な状態になるよりはずっと低い確率です。ワクチンによる重篤な副反応は今の医学で基本的には救えるはずだ。

 

 

繰り返すが、ワクチンが今回の自粛から明ける唯一のゲームチェンジャーである。全てのワクチンは打った時のデメリットよりも打たなかった時のデメリットの方が大きいのは間違いない。

 

全ての人に接種を勧める。