研究室について

このサイトは下記の3つのテーマを持って、あまり日本では学術的に語られることのなかった視点から日本の救急・集中治療分野のヘルスリテラシー向上の一助となることを目指しています。

ヘルスサービスリサーチで目に見えないものを科学する

日本の医療はフリーアクセスだとされ、いつでも、誰でも希望する病院を受診することが出来ます。それは国民皆保険により低価格で提供されています。これらは世界に誇るシステムだとされてきました。また、日本の先進医療も世界のトップクラスだと言も言われています。しかし、現在、その医療提供に問題が生じ始めています。ヘルスサービスリサーチという研究概念から下記の目に見えにくい3つの重要なコンセプトを言語化し、研究昇華させることによって、その問題点と解決方法をみようと考えました。日本の最高の医療は本当に必要としている人に確かに届けられているのでしょうか?

  1. 医療の提供方法「Health Services」
  2. 無形の医療技術「Medical Arts」
  3. 医療の質「Quality Indicators」

質の高い医療の提供、革新的な医薬品・医療機器の真の実用化、すなわち医療現場への導入には、今までのような医薬品・医療機器の開発のみでは十分ではないことが分かってきています。適切な人に適切なものを適切なタイミングで提供することの重要性が高まっています。良いものがあっても上手に使われなければ意味がありません。提供する人やもの、タイミングを見出す無形の医療技術の研究、開発、提供するサービスやプロセスの研究と標準化が行われて初めて診療の質は向上していくものです。

救急医療は医の原点

医療の最前線にある救急医療は細分化された医療の中で最も患者さんに近く、最も社会に近く、最も医師らしい役割を担っています。医療チームの先頭打者であるため、最速の医療技術で生命を維持しながら、無形の医療技術と言われる問診や診察を用い、出来るだけ少ない検査で診断し、副作用が少なく、どの医師も用いる事ができる(classic oldな)薬剤を用い、適切なタイミングで適切な患者さんに適切な方法で医療を提供する事が必要だとされています。それが質の高い救急医療であり、その評価と方法を研究しています。

集中治療はチーム医療

集中治療は一人の医師だけでは解決できない事が多くあります。医師、看護師、技師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど様々な職種と協力し、集学的な治療を用いて解決に向かう領域です。未だ分かっていない事も多く、適切だと言われていた事が数年後には違うとされることすらあります。どれだけ頑張っても救えない命にも対応しなければならないこともあります。最も大事なのはその時の最良の医療サービスをチームで共有し、提供することです。それが質の高い集中治療であり、その評価と方法を研究しています。