パラレルキャリアとは、ピータードラッカーが提唱している社会での生き方の一つで、「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」です。働き方や雇用形態の多様化によって日本でも注目されているものですが、医師の場合、少し違った角度から考えることも出来ます。
医師の基本的な役割は臨床・教育・研究の3つとされています。しかし、救急や集中治療分野では大学病院や救命救急センターは社会から期待されているdutyやneedsが既にスタッフ数を超えており、慢性的に人手不足による負のスパイラルに陥っています。そのため、それを必死でこなすだけの施設が多くなってきており、世界に先立つような教育、研究など、現在の臨床にプラスαすることを継続的に行える人が少なくなってきています。更に大学病院では薄給のため、副業に時間を割かなければなりません。この“副業”が更に日本の医師の身体、精神、時間、経済など限界に近づけており、キャリアアップの大きな障壁になっています。教育や研究は短期で金銭的利益をもたらすものではありません。しかし、自らを発展させるための重要な投資です。
私はAcute Generalist × Academic Generalist = Emergency Physician + Hospitalist + Intensivistを専門としています。その臨床と教育と研究をパラレルで満遍なく行うためにこのバーチャル研究室を大学や病院と独立して行うことにしました。「上医は国を医し、中医は人を医し、下医は病を医す」とも言います。臨床を行うことは大事ですが、それを教えること、それらをまとめて知識とすることも非常に大切な仕事だと考えています。本来は大学や大病院で行うことかもしれません。しかし、日本の医療界は部分適合を繰り返し、全体適合を行ってこなかったため、今、大きな組織は新しい考え方にシフトすることがむしろ困難になってきています。我々はこの先の未来の医療をより良いものとして発展させ、届けていくために、医師という職業をベースにした“パラレルキャリア”を推進していくベンチャーでありたいと思っています。