わらじって言う言葉自体で古いね。わらじ疫学にはっきりとした定義はないと思う。
我々の研究で言うとこんなの。
A model for predicting angiographically normal coronary arteries in survivors of out-of-hospital cardiac arrest
Abe T et al, J Intensive Care 15;3(1):32, 2015
Ulinastatin did not reduce mortality in elderly multiple organ failure patients: a retrospective observational study in a single center ICU
Masatoshi Uchida, Toshikazu Abe, Kazuyuki Ono, Nanako Tamiya
Acute Med Surg. 2018 Jan; 5(1): 90–97
Polypharmacy as a risk factor for hospital admission among ambulance-transported old-old patients.
Abe T, Tamiya N, Kitahara T, Tokuda Y.
Acute Med Surg. 2015;3(2):107-113. Published 2015 Aug 27. doi:10.1002/ams2.153
あくまでカルテをめくりに行った研究なので、学術的にはRetrospective cohort studyなんだろうけど、最近の Retrospective cohort studyって、カルテのデータベースから、がさーとデータを取ってきて、解析するのが多いので、こう言う足で稼ぐ(カルテを全て読みながらデータを打ち込む)研究は私はわらじ疫学に分類しています。勝手に。なんかかんばった感が出るもんね。
最近流行りのビックデータの方が簡単にいわゆるIFが高い雑誌には載るのですが、細かい本当に知りたいことはわらじ疫学の中にあったりする。
疫学の父John Snowが教えてくれたのは何か?今の保健所はそのためにあるんだよって言いたい。
そう言えばJohn Snowの井戸が無くなったとかって噂がありますが、どうなんでしょうね。
私も2度ほど行きましたが、ロンドンのJohn Snowのバーでまた、疫学談義に花を咲かせれる時代がまた来ればいいなと思います。
講演なんか聞いても、我々の研究によるととか、我々の報告、経験ではとかが途中に混じらないとプロには響かないんだよね。
有名な他人の研究だけまとめてもプロは知っていて当然だし、読めばいいから。
そのためにも研究ってあると思う。特にわらじ疫学。
研修医に教える予備校講師みたいに上手に話すのは話術であって、内容は当たり前のことで、専門的な救急医学では無いんだよね。もちろん、大学の教育のシステムがしっかりしていなくて、研修医は予備校みたいに教えてもらうのに慣れているから、ニーズはあるので私もそれはそれでするんだけど。
我々の頃は愛媛県には予備校はありませんでしたね。
救急は医の原点、診療の基本的なことを扱うので、そう言うの得意にする人が多いのだけど、それは教育がsubspecialtyであり、救急の専門性を高めるのとはちょっと違うと思ったりする。それも必要なんだけど。それが専門って思っていないかなって思う時もある。
他の専門の先生達は、例えば循環器の専門の先生達が心電図の読み方だけをずーと研修医に教え続けるってないと思う。もちろん、それもやるんだけど、自分たちの疾患の専門性を高めるために学び、研究していると思うな。
だから、コンサルトを受けれる。救急にはそれが少ない。
日本において専門性の高まりが他の科に対して足りないなって思う時がある。
我々の研究室はそう言うところに迫りたい。まずはわらじ疫学から。
最近、行った我々の感染症のわらじ疫学の話はまた別の機会に。